痔の日帰り手術について

当クリニックでは、切らずに治療可能なジオン注射(ALTA療法)を中心に痔の日帰り手術を行なっています。
保存療法を行なっても出血や脱出などの症状再燃を繰り返す症例や、日常生活に支障をきたす症例は手術を行います。

日帰り手術の適応症例
・内痔核、外痔核(大きさ・数が少ないもの。嵌頓して戻らないものや、3つ以上で巨大なものなどは入院での手術が必要となる可能性が高いです)
・肛門ポリープや肛門皮垂
・肛門周囲膿瘍
・浅い痔瘻 など

※上記の症例でも、重度の全身疾患や出血素因のある方など、入院での周術期監理が必要な方は適応外となります。
※当クリニックは小樽掖済会病院、済生会小樽病院、小樽市立病院と連携医療機関であり、入院治療が必要な場合紹介可能です。
主な手術術式
ジオン注射(ALTA療法): 内痔核周囲4箇所に分散して注射することで、痔核を硬化、消退させる治療です。適切な講習を受け許可を得た医師のみが施行できます。結紮切除術より痛みや出血が少なく抑えられますが、1割程度の再発率があります。
ただし、妊娠中・授乳中の方、透析中の方、放射線治療の既往ある方、全身状態不良の方、小児などは受けることができません。

結紮切除術:
 昔から一般的に行われてきた、痔核そのものを切除する根治術です。術後出血や疼痛のリスクがジオン注射より高いですが、併用できるメリットもあります。

痔瘻根治術: 痔瘻のトンネル部分を解放したり繰り抜いたりする術式があり、切開解放術、くりぬき法、シートン法などがあります。肛門の変形がなるべく残らないように症例に合わせて選択します。
麻酔方法
局所麻酔もしくは仙骨硬膜外麻酔にて肛門の麻酔を行います。
(抗凝固薬の服用を中止できない方や、出血傾向のある方には仙骨硬膜外麻酔は行えません)
症例によっては、点滴による静脈麻酔を併用します。

手術の流れ

術前検査と手術予約
まずは一度来院いただき、診察を行い手術が必要か判断します。
手術方針となりましたら、手術日時のご相談と予約を行います。

採血、検尿、レントゲンなどの術前検査を行います。
定期的に内服している薬がある方は、必要に応じて手術前の服用中断を指導します。
手術当日
食事制限などはありません。
来院予定の2時間前に、坐薬を使用し排便を促していただきます。

手術前に腕に点滴、血圧計と心拍数を測る器械をつけます。
手術はうつ伏せで行います(横向きで行うものもあり)。
手術時間は30分程度です。

手術後は個室で1時間程度お休みいただき、大きな問題がなければ帰宅可能です。

生活習慣の改善について

生活改善
以下のものは、どれも肛門疾患へのストレスとなります。
・慢性的な便秘、または下痢
・排便時の長時間のいきみ
・肛門、殿部の不潔状態
・飲酒
・喫煙
・香辛料など辛いもの
・長時間の同じ姿勢(特に座りっぱなしなど)
・冷え

水分や食物繊維をしっかりとるなど食生活の改善、適度な運動、おしりの清潔などを心がけましょう。

手術費用

医療保険適応です。

ジオン注射のみで3割負担の方ですと15000円程度、痔核根治術で3割負担の方ですと24000円程度です。

※使用する点滴の種類や注射の量、麻酔の種類によって費用が数千円前後することがあります。
※手術前診察、術前検査の費用は含みません(通常の術前診察、検査費用は3割負担の方で6000円前後です)。
※生命保険会社の手術給付金補償の対象になるかどうかは、術式決定後、加入している各生命保険会社にお問い合わせください。